S BRICKは“島と人、人と人を紡ぐ交流拠点”。昨年は”織りなす”をテーマに、さまざまなゲストと共に街の入り口から、仕掛けを展開してきました。
今年のテーマは”ノビシロ”。そのひとつの仕掛けとして、街への“かかわりしろ”をつくろうと「ノビシロフェス」と題したオープニングイベントを開催しました。かかわって、そだてて、ノビる。人も街も島もまだまだノビる、二日間のイベントの様子をレポートします。
眩い乱反射に、広がる鮮やかな期待。
4月から6月の間、CRAFTARTISTとして「YouRuMaru」さんの展示を開催。船木傑さん、角理恵さんによるアートユニットで、心と身体が緩む感覚を呼び起こすような瞑想装置としてのアート作品、プロダクトを制作されています。おふたりには「ノビシロフェス」のメイン会場の照明演出にご協力いただきました。
YouRuMaruさんが得意とするのは、光の空間演出です。メイン会場には、淡路島の空に現れる光柱(こうちゅう)を模した作品が『Light Piller』と題され展示されました。光柱は、漁船の明かりや街の明かりが反射し出現するという幻想的な風景。二日間の「ノビシロフェス」のオープニングには、鮮やかに乱反射する光の前で、作者である角理恵さんのインド舞踊が披露されました。
眩い光を前に、まさに幻のような瞬きの時。夢心地の空間に、新たな期待が広がる時間を演出くださいました。
かかわり次第で“おいしい”も変わる。
一日目の夜は「ノビシロフェス・カカワラナイト」。いくつもの”ノビシロ”と”カカワリシロ”が準備されました。そのひとつが「食のわ」さんのケータリング料理です。
島の素材を中心に、国籍や主義主張を超えて、一緒に囲めるのが「食のわ」さんの料理。見ているだけでもパレットのように楽しく、食べれば「これはいったいなに?」とワクワクしてしまう、唯一無二の存在です。
そんな個性的な料理の盛り付けを、参加者をまきこみ一緒にしてしまおう!と、開催されたのが「盛り付けワークショップ」。
この丸い葉っぱは何だろう?この白い衣は何でできているの?そんな会話を交わしながら、盛り付けが進んでいきます。
「食べる」という地点から、さらに一歩踏み込んだ世界。解像度がひとつ上がれば、その味わいも異なります。ちょっとしたかかわり 次第で、おいしさが変わるというおもしろさを体験いただきました。
見えないシュリケン!?
ノビシロフェスには、島内外かかわらず、さまざまなゲストをお招きしました。洲本市役所のみなさんや淡路島の企業のみなさま、ふだんSBRICKでワーケーションやイベントでかかわってきてくださっている、島外の企業さんやデザイナーさんなど、普段は異なる仕事に向き合う方々が集いました。
職種の違いを取り払い、あちこちつないで関係性のノビシロを伸ばそう!と、ゲストを代表して何人かの方に、取り組んでいる活動についてお話いただきました。おひとりはアイラボの宮崎さん。普段は電気メーカーでエンジニアとして働かれています。
宮崎さんは電子工作が好きすぎる あまり、有志と共に団体を立ち上げ。淡路島の農園と共同し、ドローンをつかったいちごの生育ログをとるシステムを開発するなど、興味深い活動をさまざまに広げておられます。
今回ご紹介いただいたのもアイラボの活動のひとつ。新感覚シューティングゲームXSA(イクサ)です。
大人も子どもも忍者になりきり、「クナイデバイス」を使い見えないシュリケンを投げ合うコンテンツ。淡路島のイベントで、子どもと活用してもらえたらとお話くださいました。
会場のみなさんも子どもに戻ったような表情で、見えないシュリケンを投げ合いました。島のイベントで、宮崎さんのコンテンツが活躍する日が来れば、おもしろくなりそうです!
こうして島内外の企業や事業者さんが、さまざまに集い交わり、あちこちで話がはずんだ一日目の夜。「カカワラナイト」の出会いが、新しい何かを生み出すきっかけになるかも……?と期待させる盛り上がりをみせ、終演となりました。
私たちも、まだまだソダテナイト!
二日目は「ノビシロフェス・ソダテナイト」ということで、AwajishimaSodateteMarketとの共同開催。
これまで月に一度、淡路島のどこかでゆるくつながりのある人たちと開催されてきたマーケット。出店者は、運営チームや出店者の推薦に限られてきました。今回は「ソダテナイト」ということで、新たに”公募”スタイルで広く出店者さんを募集することになりました。
今年で8年目に突入したAwajishimaSodateteMarketにとっても、新たな挑戦の場となった「ノビシロフェス・ソダテナイト」。こうして集まった出店者はなんと42 店舗。過去最多となるお店が集結することになりました。これにはマーケットの立ち上げ運営されてきた、やまぐちくにこさんも驚き。
「8年継続してやっていると、出店していた方々も自店舗ができたり、活動スタイルが変わってベテランになって巣立っていかれます。毎月開催しているだけに、スタッフチームにもどうしても”なれ”が出てくるんですよね。なので今回のような新鮮な出会いはとても大切」と、やまぐちさん。
「新しく出てくれた方々って、これからお店を持ちたい人とか、移住したてでつながりが欲しいとか、出会いを求めてる。いろんなことを吸収したいという欲求も強く、熱を感じさせられます。私たちは逆に、続ける意義とかやりがいが見えなくなることがあって。だからこそこうして、たくさんの方が手を挙げてくださったことがうれしい。モチベーションもあがるし、まだまだノビシロがあるなって確認ができました」と、お話くださいました。
こうしてさまざまな人たちの交わりが生まれた、二日間の夜が終わりました。ただ出会うだけでは見えてこない「ノビシロ」。淡い色が重なりあい、濃淡のある風景が垣間見えた気がしました。10年、20年たったときに、そういえばあの夜に出会ったな。なんて会話が繰り広げられることを期待して。
二日間のノビシロフェスにご参加くださったみなさま、出店くださったみなさま、ありがとうございました。今後も、出会い重なりあうSBRICKのイベントをお楽しみに。