2024 06 22
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あしたを織りなせ!6組の活動記録 | 2023’4 – 2024’3 CRAFT ARTIST ARCHIVE

SBRICKのクラフトベースでは、2023年4月~2024年3月のあいだ「織りなす」をコンセプトに淡路島内外のアーティストを招き、作品展示やワークショップを開催してきました。1年にわたる、6組のアーティストたちの活動記録をお届けします。

素材と人と、鮮やかに織りなして

第一弾となるアーティストは洲本市在住のサリー・ハンコックスさん。2020年から洲本市内で藍染工房AiAii(アイアイ)を営んでいます。

6月に開催された“Oru!Oru! BRICK FES”でのお披露目にむけて、4月からクラフトベースで滞在制作をスタート。今回は大阪の手ぬぐい専門店「にじゆら」さんの手ぬぐいとサリーさん自身が染めた藍のタペストリーを組み合わせ制作が進みました。

「環境に関心があるので、リサイクルや天然資源の利用は大切」と、古い障子枠とにじゆらさんのてぬぐいなどを組み合わせ、天井から吊り下げたダイナミックな作品をキッズスペースに設置。 「展示が終わったあとも、子どもたちがさまざまに変化させ、遊びを創造してほしい」とサリーさん。他にも、ダーニングやはた織り、編み込みボウルやてぬぐいぞうりなどのワークショップも開催され、S BRICKを訪れる人たちと、素材が織りなされる鮮やかな3ヶ月となりました。

これが廃材? PLAYFUL Lab. 誕生!

夏の3ヶ月間は、アップサイクルをテーマに3組のアーティストやクリエイターたちがクラフトベースを賑わせました。まずは、7月。現在もS BRICKのコンテンツとして続いている「PLAYFUL Lab.」がスタートしました。

この企画は、保育士起業家として神戸市長田を拠点に活動する、こどもみらい探求社の小笠原舞さんとのコラボレーション。

淡路島の漁業や農業、工場などさまざまな事業者のみなさまにご協力をつのり、廃材を集めました。毛糸や漁に使う網、ガチャガチャのケースや靴下のはぎれなどなど。整え並べていくと、カラフルに輝き出し、廃材とは思えない素材たちに変身!

さらに淡路島の家具職人に専用の素材棚を制作いただき、いつでも自由工作ができる場が整いました。

地域の保育所の園児のみなさんや、SBRICKを訪れた子どもたちは「これ使いたい!」「この色きれい」と目を輝かせ工作。ここからどんな作品が生みだされ、どんな個性が育っていくか。はたまた大人たちのクリエイティビティも刺激する場として、まだまだ可能性が広がる「PLAYFUL Lab.」です。

ずっと長く着られる服を、さらに長く

8月はファッションブランド、ii(イイ)のみなさん。生きる、活きる、衣着る。「いきる」をなぞらえたライブやワークショップ、ファッションショーが開催されました。

iiは、南あわじ市在住のあまづつみ・まなみさんが展開するアパレルブランド「Char*」をはじめ、古着、端切れなどをアップサイクルし、新しい洋服を生み出すブランド。

もともとChar*の洋服は洗うたびに風合いが変わるなど、ずっと長く着られる服を中心に制作されてきました。淡路島にゆかりのあるファッションを学ぶ国内外の学生たちに呼びかけ、Char*の洋服をアップサイクル。

「ずっと長く着られる服」を新たな観点でつくりなおし、さらに長く着られるコレクションを発表。お披露目のファッションショーが開催されました。

洲本に眠る「あるもの」を見つけ、楽しむ!

9月は大阪のクリエイティブユニット「くふう」さんと、淡路島の地元情報誌danさんの「出張!くふう大作戦!」。

「くふう」さんは、福祉施設をパートナーに迎え廃材を活用し「あるものでつくる」をモットーに活動を展開されています。淡路島では手にしたことのない人はいない、地元情報danさん。長年の取材歴から、島の「これ何?」はお任せあれ!

そんなふた組の最強タッグで洲本に「あるもの」を見つけ魅力を探求しなおす16日間を展開。

まずは、街のみなさんに呼びかけSBRICKや周辺をまちあるきしながら「すもとマップ」の土台を作成。あれもかわいいな、これも素敵だな、なんて普段は見逃しているところをゆっくり歩いて解像度ぐっと上げていきます。

会期中は、SBRICKを訪れる方々にご協力いただき、情報がどんどん書き加えられ、知ってるようで知らなかった「すもとマップ」が完成!

また、danのバックナンバーをつかって、くふうさんとオリジナルバッグをつくったり、くふうさんの活動やdanさんと読者の交流掲示板が展示されたり。

さらに、古紙や古布を回収ボックスが設置され、オリジナルバッグに活用される仕組みも!洲本に眠る「あるもの」をたのしみ、魅力を見つけなおす充実の「出張!くふう大作戦!」となりました。

mtが絵画になったら?

10月からの3ヶ月間は、淡路島在住のアーティスト竹田剛さんによる、絵画・コラージュ作品の展示が開かれました。

SBRICKスタッフと、竹田さんとの打ち合わせ風景。mtを用いてどんな作品をつくるか、想像を膨らませています。

ながらくアートディレクター、グラフィックデザイナーとして音楽系のビジュアル制作を中心に活動してきた竹田さん。2017年に東京から淡路島へ移住し、2019年よりアトリエを構え本格的に絵画制作をはじめられました。

竹田さんの展示期間中には、カモ井加工紙株式会社が展開するマスキングテープブランド「mt」とSBRICKのコラボレーションイベントが二週間に渡って同時開催されました。メインビジュアルは、竹田さんのmtをつかったコラージュ作品。

また、竹田さんのこれまでの作品のなかからSBRICKのレンガ造りの壁に映える絵画がセレクトされ、さらに展示中にもどんどん新作が追加。贅沢に作品を味わう空間が演出されました。

「mt」のイベント後も、竹田さんの絵画展として会場構成が再編集され、年内いっぱい見ごたえのある展示が続きました。

筆と塗料と素材と、あわせていく愛しみを

最後のアーティストは洲本市出身、洲本市在住のペインター、ueda kanadeさん。壁画、看板、イラストや文字に至るまで、すべてをハンドペイントで描くペインター。筆とインクをたずさえ、各地で活躍されています。

3月に開催された「大偏愛展×S BRICK」in 淡路島 by フェリシモにむけて、年明けからクラフトベースで制作がスタート。大偏愛展と連動して、市内各地にフォトスポットとなるペイント作品が展示されました。また、クラフトベースでは、これまでの作品アーカイブや制作風景をお披露目。

大偏愛展の開催後は、クラフトベースでペイントワークショップを開催。参加者がつくりたい看板やペイントを、ueda kanadeさんから手ほどきを受けながら体験できるというもの。文字やイラストのデザイン、筆の持ち方、インクをのせて線を描き伸ばすストロークまで、ハンドペイントの醍醐味を存分に味わえる時間となりました。

合計6組のアーティストたちが、クラフトベースを舞台に、島の人やさまざまな企業や素材と混ざりあい、クリエイティブな時間を生み出し続けてくれました。作品展示やワークショップを通してまた新しい洲本の街の楽しさやおもしろさも広がり、見え方が刻々と変化していった1年。さまざまな活動にご協力くださったアーティストのみなさま、ありがとうございました。 また2024年も新たなテーマを掲げ、さまざまなアーティストたちがSBRICKを起点に洲本の街中を賑わせます。今年度の活動もどうぞお楽しみに。